医療広告ガイドラインの審査基準とは?注意すべき5つの項目

医療法改正に伴い、これまでよりも医療広告ガイドラインの審査基準が厳しくなりました。医療法改正によって、規制の対象ではなかった医療機関が運営するウェブサイトについても、広告同様に規制の対象となったのです。しかし、修正と入稿を繰り返しても、審査に落ちてしまうケースは少なくありません。審査に落ちた理由について、どの部分が基準を満たしていないのか、詳細を教えてくれることもないのです。そのため、事前に医療広告ガイドラインを確認し、審査に落ちるケースが多い項目についてチェックする必要があります。

情報の掲載

医療機関のウェブサイトでは、院長および理事長についての情報を掲載しなければなりません。表記すべき内容は、卒業大学名・学部・卒業年月・経歴などです。医療従事者に関する情報のうち、審査に落ちる可能性が高い表記は、医師略歴中に含まれる学会や専門医に関する項目であるといえます。厚生労働省が認める専門医および学会を表記することは許可されていますが、認めていないものについては表記できません。さらに、研修に関してはいかなる場合も表記できないとしています。
しかし、医療広告ガイドラインには、「限定解除」のシステムが設けられており、条件を満たすことによって、表記が認められる場合もあるのです。例えば、ウェブサイト上に電話番号やメールアドレスなどの問合せ先が記載されている場合、厚生労働省が認めていない研修や学会への参加歴を表記できます。また、治療前後の写真の掲載についても、限定解除によって掲載可能です。治療内容の詳細や副作用などのリスクを表記することで、写真の掲載が認められています。

使用できない文言の確認

広告内に使用不可とされている文言やワードが含まれている場合も、医療広告の審査を通過できません。例えば「○○No.1」、「国内初」、「最大○○」「無痛」、「安全」などの、誇大・断定した表現は、根拠がないものについては不可となります。根拠として、データや調査機関名と調査年、データが1年以内のものであることを表記すれば、誇大・断定表現を用いても問題ありません。ただし、「アンチエイジング」というワードについては使用不可です。診療科名ではないといった理由から、医療広告として許可されていません。

科目の設定

医療広告ガイドラインでは、表記が認められない科目を具体的に設定しています。歯科医院の場合、「インプラント科」や「審美歯科」が挙げられ、法令に基づいていない診療科目と名称であるため、広告として認めないものとしているのです。医科全般では「呼吸器科」、「消化器科」、「循環器科」などが対象となります。限定解除の条件を満たすことで表記は可能ですが、届け出を行っていない科目について表記することは信頼を損ねる可能性もあるため、最良の方法ではないといえるでしょう。
また、基本的には「専門外来」というワードも表記できません。ただし、健康診査や保険診療などであれば表記可能なほか、限定解除の条件を満たすと「専門外来」と表記せず専門的な内容のコンテンツにすることは可能です。いずれにしても、「専門」というワード自体が医療従事者にとって難しい表現であるため、限定解除に関わらず表現方法を意識する必要があります。

口コミや体験談の掲載について

治療を終えた患者や、利用者の口コミや体験談を掲載することも、医療広告としては不可としています。主観的な表現を用いることになるため、掲載できないのです。口コミや体験談の内容が医療広告ガイドラインに掲載可能な内容であったとしても、一切不可となるため注意しましょう。しかし、個人で運営しているウェブサイトや口コミ専用サイトへは、特定医療機関の口コミや体験談を掲載しても問題ありません。

イラストや写真にも注意

細かな表現やアピールポイントとして表記したい部分も、医療広告ガイドラインでは認められないことがあります。例えば、ウェブサイト内で使用する写真やイラストについては、回復して元気になった人の写真やイラストなどを、誤解を与える可能性があるため使用不可と定めているのです。また、著名人が通っている、治療を受けた、雑誌で紹介されたなどの表記も不可となります。ほかの医療機関よりも優れているという表現であり、「医療広告」としては認められないためです。雑誌や新聞で紹介されたといった表現は、広告可能な項目でないことから、医療広告として認められません。

医療広告ガイドラインに違反しないよう注意

広告文では、医療広告ガイドラインに沿いながらほかの医療機関との差別化を図らなければならず、簡単な作業ではありません。表記・掲載する内容については、医療機関もしくは特定の医療機関の医療従事者が運営していることが分かるウェブサイトの場合、ブログなども該当するため、十分に注意しましょう。